続・現代をみる

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世界の安全保障における「核抑止力」思想の転換は可能か?

現在、国連において、核兵器を法的に禁止する条約の検討が進められているそうです。朝鮮半島情勢の騒動も、北朝鮮核兵器を開発しているため、核武装を肯定するか否かという点が一つのポイントであり、核兵器の扱いを国際社会の枠組みでどのように定義づけるかが今後の課題になってきます。

 

この記事では、核保有国の有している「安全保障における核抑止力思想」を転換することは可能かという点について、考えを記してみたいと思います。

 

「核抑止力」というのは、現存する最強の兵器である「核兵器」を使用を前提として保有・装備することにより、他国の侵略や攻撃を抑止し、平和を維持するという思想であると言えるでしょう。それでは、現実に核兵器を使用することが現実的であるかどうか考えてみると、日本が1945年に原子爆弾を投下された時の被害状況を考えれば、その使用は極めて非人道的であり、その影響が現在まで長く続いていることを考えても、その影響は非常に大きいものがあり、使用者は非常に強い批判にさらされることになるでしょう。ですから、核兵器は兵器として実在はしているが、その使用は現実的ではないということが言えると思います。

 

それでは、その核兵器を全廃して、「核抑止力」思想によらない世界平和の維持は可能なのでしょうか?それは、人々の「良心」と「意思力」にかかってくるでしょう。また、制度的なものとしては、国連などにより、武力紛争を起こした当事国は、国際社会において不利益を被るようなシステムを、全国家が合意の上で制度化することが考えられます。しかし、国家それぞれが独立して存在している以上は、国家間の協議や合意によって、そのような状況を創出することが必要です。

 

そこには、やはり、「武力紛争は現代社会において国家間の課題を解決する手段としては取るべきではない。なぜなら、多くの人命が失われ、経済的損失も大きいからだ。」という基本的概念を広く世界で共有し、また、現代社会では軽視されがちな、「思想」や「宗教思想」、「哲学的思考」、「倫理規範」といったものを、全世界で共通認識として理解する必要があります。

 

非常にゆがめられたいわゆる「悪の過激思想」を無効化するには、ホワイトな思想体系を強化して対応していくしかないでしょう。まさに、「思想的防衛」とも呼べる平和維持のための概念的な取り組みが、各方面で必要になってくると思います。

 

「核抑止力」思想の転換も、核保有国と非保有国がよく協議を重ねた上で、平和的に実現してほしいと思います。

 

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